それは、果てしないロシアのステップ地帯と、人いきれでむせかえる客車での出会いの旅。広大なロシアの大地を行くシベリア鉄道の、狭くくたびれた車両の片隅で。 ロシア、それはその巨大さでロシア人さえ圧倒し、だれもその全体像を目に映すことはできない。ロシア、それは外国人にとって永遠に未知なる国。その謎を解くカギはインターネットになんか見つからない。

中央ロシアЦентральная Россия

私たちは旅のスタート地点をモスクワに定めた。人々を魅了し続ける街。歴史が息づき、文化と鮮やかなコントラストが彩る街。果たして首都モスクワを訪れることで
ロシアをどれほど理解できるのだろうか。一か月におよぶ9,288kmを走破する旅を始める前に、私たちはこの街でその答えを探すことにした。

モスクワ, 中央ロシア
そっくりさん

「ママ見て!ワーシャおじさんがテレビに出てるよ!」ノボシビルスク出身のビジネスマンの運命は、親友の小さな息子が食事中にこう叫んだことで180度変わってしまった。それはエリツィン後、プーチンが大統領になって初めてのインタビューだった。新大統領におどろくほど似ているために周りから注目され、あげく友人たちは彼のことをウラジーミル(プーチンのファーストネーム)と呼び始める。火事で自分の毛皮店を失い、新たな幸せを求めて首都モスクワへやってきた。

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モスクワ, 中央ロシア
占い師

リマはカリスマ性に溢れたロシアのバーブシュカ(おばあちゃん)だ。脳卒中を経験してから外出はむずかしくなったが、占術と秘術を駆使しして外界とコンタクトし続ける。インタビューは彼女の助言を求める若い男女からの電話でたびたび中断されることになった。

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写真
Urban Russia
ストーリー
将軍の妻
ストーリー
コイン収集家
ヴォルガПоволжье

一度でもヴォルガの夕日を見れば、なぜこの地が偉大な芸術家や作家を輩出しつづけてきたかが分るだろう。ヴォルガの大地に境界はない。ヴォルガの中心地、ニジニーノヴゴロドとカザンでも思いがけない出会いが私たちを待っていた。

ニジニ・ノヴゴロド, ヴォルガ
レース編み職人

アンナの周りではまるで長い間、時が止まっいるかのようだ。彼女のレース職人という仕事、そして保守的なその考え。 アンナは自分の仕事や生活について愛情を込めて話してくれた。彼女は家父長制の下で、夫に付き従う生活を送る。夫の許可なしに家を離れることは決してない。彼女は幸福だ。少なくとも彼女自身は幸福だと言った。

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カザン, ヴォルガ
家継ぐ人々

世の中には2種類の人間しかいない。自ら人生を切り開いていく者と、環境に迎合する者だ。我々はカザンで3人の男性に出会った。彼らは自らの人生を劇的に変える選択をした。

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写真
Train Life
ストーリー
教師
ストーリー
タクシードライバー
ウラルУрал

少しづつ電車の生活にも慣れてきて、途中下車する初めての街も勝手が分かってくる。ほとんどの場合レーニン通りがあって、センターと思しき場所があり、そこにはカフェがある。次に訪れた街エカテリンブルクでは音楽、創造性、ヒップスターの若者たちの感性に心揺り動かされた。「まあここまでは問題ないわけよ」住人の一人は言った。「さらに東に行くと危ないね。電車でも夜は仲間うちで順番に見張ってた方がいいよ」困惑しつつも、何故か我々には根拠の無い自信があった。きっと全部うまくいく。

エカテリンブルク, ウラル
ポテトボーイドリーム

18才のオレグは鉱夫となるべく大学で勉強している。だが彼の本当の夢はラッパーになることだ。12歳から働き始めた彼の人生は苦難の連続だった。しかしそれは生きるためのレッスンであり、彼を強くしたたかにした。

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エカテリンブルク, ウラル
ティーンエイジャー

私たちはある日の午後をティーンエイジャーたちと芝生の上で過ごした。彼らはみなアメリカのロックバンドTwenty One Pilots のファンだ。彼らのうち何人かはLGBTで、その中の一人ジーマは
トランスジェンダーである。

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ストーリー
ポーカープレイヤー
ストーリー
妊婦
シベリアСибирь

窓の外の風景は、森、森、そして森。無限に続く国土。それがロシアだ。その中央にはシベリアの真珠、広大なバイカル湖が横たわる。シベリア人は都市の人間とちがう。寡黙である。では彼らとは話すに及ばないか?否。一度彼らが胸襟を開けば、彼らはあなたにロシアの魂を注入してくれるはずだ。

クラスノヤルスク, シベリア
オールドクライマー

イリナが初めて山の頂上まで上ったのは4歳の時だった。岩場とその高さが彼女を魅了した。クラスノヤルスクの岩山に彼女は毎日のように訪れる。59歳にして最も難しいルートで登頂し、コンテストでは若い選手を打ち負かす。

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電車の中で, シベリア
女性警官

女性が警察官になるとはどういうことだろう。薬物中毒者や救いがたい凶悪犯にどう対峙するのか。攻撃を受けたらどうするのか。ビクトリア(ちなみにこれは偽名である。ロシアでは警察官は退職時に10年間の秘密保持契約を結ぶ)は自分の警察官時代のことを語ってくれた。女性は警察官になるべきでないと彼女は言う。その一方で警察組織に女性がいることの重要性も彼女は指摘する。

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電車の中で, シベリア
鉱夫たち

食堂車の中でほろ酔いの鉱山労働者たちと出会った。彼らは隣町の鉱山のサッカーチームと試合をした帰りだ。彼らはゲオルグを見つけて好奇心から話しかけてきたのだった。彼らは最初、私をゲオルグのエスコートガールと勘違いしていた。誤解を解くと、私たちを囲んで食堂車での酒盛りが始まった。私たちはたくさんのことについて話した。鉱夫という職業、シベリア極地での生活、ゲイを取り巻く状況、そして本当の男とは何かについて。

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Olkhon Island, Lake Baikal
ヒッチハイカー

私たちの乗ったブハンカ(パンのかたまり」を表すロシア語「ブハンカ」が愛称のマイクロバス)は二人のヒッチハイカーを道端で拾った。アルタイから来たこの女性二人組は、ロシア国内を既に2年旅して周っていた。彼女たちは1年の内3ヵ月販売員の仕事をし、残りの9ヵ月旅をするという生活を続けている。彼らが旅で経験した話だけで一冊の本が書けるくらいだ。彼女たちの旅では、時にヒッチハイクした車が湖に突っ込み、時に出所したばかりの元受刑者の運転する車に乗り、時に自ら長距離トラックの運転席でハンドルを握る。

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写真
Lake Baikal
ストーリー
へき地の教師
ストーリー
母として
極東Дальний Восток

28日の旅の果てにたどり着いたのは、シベリア鉄道の終着駅、極東ウラジオストク。しかしここはロシアの最東端ではない。そこでこんな疑問が沸いてくる。いったいロシアはどこから始まって、どこで終わるんだろうか。ウラジオストクの住人は言う。
「ここから日が昇り、この国の一日が始まる。ロシアはここウラジオストクから始まるってわけさ」

ブラゴヴェシチェンスク, 極東
靴職人

二度の刑期を終えたミーシャは、ある種の雰囲気を纏っている。過去については後悔していない。でも今、そして将来については納得がいかない。90年代みたいにいかないのはしょうがない。いたるところに監視カメラ、ドローン、パトロールの警官がいる。ミーシャは窃盗グループからどうやって足を洗ったのか、塀の中はどんな様子だったかを教えてくれた。そして、一度愛し合った女性が他の男と結婚した後、その女性と関係をもったことも。

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ウラジオストク, 極東
ドラッグレーサー

違法なドラッグレースはウラジオストクのアンダーカルチャーの一面だ。スタートラインに並んだ2台の車が同時にスタートして速さを競う。セルゲイは10代のころからレースに参加してる。10歳のころに父親から車のキーを渡されたのが始まりだった。隣町から水を運んでくるためだった。車と一緒の写真を撮らないのは、レーサーたちのジンクスだ。

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写真
Можно?

ストーリー
The Sailor
ストーリー
The Communist